「って、別に! 何でもない!」
「何でもないから、よろしくなっ。ほんとそっくりだろー?」
二人が取り繕うように声のトーンを上げて、私にそう言った。
二人は笑ってるけど............
無理してるの、バレバレだから。
私も、‟あの時”そんな気持ちになったから、見分けられるようになってあげたい。
って、自己満足かな......?
「見分けられるように、頑張るねっ。よろしくね、奇打 心空って言います!」
私も自己紹介をして、微笑む。
見分けられるようななって、そしたら......そしたら、ちゃんと大空、翼皐って呼んであげたいな。
「「え......?」」
二人が目を見開く。
何に驚いたのか、私にこう言ってきた。
「今、なんて......」
「そ、空耳か............?」
「え? いや、違うよ......!」
さっき私がいったことを空耳だと思ったみたいで、慌てて否定した。
そ、空耳じゃないって......!
聞こえてなかったのかな?
あ、まだいうことあった。
悲夢くんたち二人に、いうことがまだあったのを思い出し、付け加えた。
「ねね、私が見分けられるようになったら、悲夢くんたちのこと、名前で呼んでもいい?」
「え、あ、いや......今よんでもいいけど......」
「うん、今呼んでも......」
二人が私に動揺したようにそう告げる。
でも、それは今、こう言ってくれる二人に失礼だ。
............たぶん!
失礼じゃなかったとしても、私なりのけじめなんだ。
仲良くなりたいけど、名前で呼ぶのは、悲夢兄弟・大空と翼皐を見分けられるようになってから......‼
「これは、私なりの二人と仲良くなるためのけじめなの!
見分けられるようになったら、名前で呼んでもいい?
っていうかそれまで、悲夢くんって呼ぶけど、許して......!」

