この星に生まれた、何よりも誰よりも。


 ふわりと、満面の笑みを浮かべた陽詩。

 ......仲良くなれたらいいなあ......。

 ほっこりしながらそんなことを思っていると、陽詩と私の間に男の子の声が割り込んできた。



「陽詩ばっかり仲良くしてないで~。俺ら挨拶もしてないのに!」

「そうだそうだ!」



 グレーの濃度が高いブルーグレー色の髪の毛の男の子が、二人。

 だけど瞳は、薄いブルーグレー。

 二人とも、とってもそっくりだ。

 ......えっと?

 だ、誰だろう......。



「心空、この人たちは、私と同じ班なの」



 少し混乱していると、陽詩がそう教えてくれた。

 同じ、班の人......。 



「俺は、悲夢(ひゆめ) 大空(つばさ)

「俺は、悲夢 翼皐(つばさ)



 んんっ?

 悲夢、大空......悲夢、翼皐......。

 同じ名字......。

 同じ、名前......⁉

 二人の名前の発音が同じだ。

 アクセントも一緒。

 え、えぇ......?

 どうなってるの......?



「「ごめんなー。名前が一緒とか、わかりづれーよな」」



 しまいには二人が声をそろえてそう言ってくるものだから、もう訳が分からない。

 声もそっくり。

 違いはあるけど、声の高さがほとんど一緒だ。

 ポカーンと間抜けな顔をして二人を見つめる。



「悲夢 大空と、悲夢 翼皐。一卵性の双子なんだよ。
 大空(おおぞら)って書いて、つばさ。(つばさ)皐月(さつき)()で、つばさ。そっくりだよね」



 なるほど、漢字が違うのか。

 陽詩がまたそう教えてくれて、名前の漢字が違うのだと気づく。

 

「うん、ほんとそっくり」



 そういうと、双子が「「だよなあ......」」と表情を曇らせた。

 やっぱりとってもそっくり......。

 声も、またはもってるし。

 表情を曇らせたのを見て、何となくそう思った。

 ......何か嫌なこと、あったのかな?

 そっくりで、見分けられる人はいるのかと心の底から思った。

 私も、見分けられるようになるといいなあ............。

 誰にも気づかれなかったら悲しいし、なんだかみじめになる。

 “あの時”も、そうだったから......。