この星に生まれた、何よりも誰よりも。


 思わずその場にへたり込む。

 ......だめ。

 しっかりしなくちゃ。

 泣いても叫んでも、過去は戻ってこない。

 過去は何も変わらない。

 ......今日、あの夢見たからかな。

 些細なことで、涙が出そうになる。

 涙腺がとてつもなく緩む。

 私は、違う。

 そうじゃない。

 優しくなんてない。

 泣きそうになっている自分をバシッとたたく。

 あー、だめだめっ。

 泣かない!

 氷雨と私が用意した机といす。

 ............ほとんどは、氷雨だけど。

 私は新しい席に座って、涙を飲み込む。

 うん、平気!

 いま私は、幸原 氷空じゃなくて、正体を隠してて、今は希打 心空。

 普通の、ごくごく普通の高校生。

 そう自分に言い聞かせて、教科書とノートをバッグから出した。

 そうして待って、数十分。

 時計には、7時20分と表示されている。

 パラパラとまだらに人がやってきた。

 ............眠い。

 とてつもなく、眠い。

 なんで? 昨日ちゃんと寝たのに!

 ん~と。

 昨日寝たのは夜の12時。

 今日起きたのは、朝の5時。

 6時半に家を出ただけだから、厳密に起きたのは、朝の5時、だったと思う。

 ちらっと時計が目に入ったけど、5時だったはず。

 夜の12時から、朝の5時。

 ..................あっ。

 5時間しか寝てない‼

 ......じゃ、ちょっとだけ寝ちゃおうかなあ。

 まだ、早いし、HRするのは8時20分。

 それまでに起きておけば、問題ないはず。

 ......だよね?

 私は組んだ腕に頭を預けて、突っ伏していると思われる体制でそのまま寝てしまった。