この星に生まれた、何よりも誰よりも。


 ..................言わなきゃ、わかんないよ......っ。

 私はただ突っ立って、それを見ることしかできない。

 まだ私は突っ立って、それを見ている。

 ............見て、“いた”。

 ほくそえんでいた男、‟あの人”にあるものを向けている男が、あるものをつかんでいる人差し指に力を込めた。

 “あの人”は、小さく口を開く。



 「――そら」



—————バンッ!!!



 「○○○......――」




 咲いた。咲かせた。

 私の目の前で。私が突っ立っている前で。

 時が止まったままで。

 時がゆっくりと動いたままで。

 あいつらが、“あの人”が。

 “あの人”のそばに、

 鮮やかな真紅の華が――咲いた。

 鮮やかな真紅の華が、真紅の雨を降らせた。

         ◇ ◆ ◇

 
「いやああああああ—————っ!!!!!」



 叫び声。

 絶望の声。

 絶望した人たちが心から発した、悲しみの(うた)

 自分が発したその詩で、私は目を覚ました。

 汗をかいている。

 パジャマが、薄く湿り体にひりついた。

 ..................気持ち、悪い。

 その気持ち悪さを感じた瞬間、狙っていたかのように咳が止まらなくなる。

 クルシイ。

 くるしい。
 
 苦しい。

 痛い。

 心が、体が、悲鳴を上げる。

 ............やめてよ。

 私は、まだ、いけない。

 いけない。

 “あの人”と同じところには行けない。



「げほっ、ごほっ..................う、あ............っ」



 止まらない。

 私は、まだ――。