となると、あとは屋上だけっ......。

 五階から、屋上へと階段を駆け上がる。

 屋上へ続く階段はほかの階段と比べてつるつる。

 だからちょっとだけ、走りづらい。



「......あっ......」



 足をすくわれて、転んでしまった。
 
 足をぶつけてしまって、ズキリ、と傷が痛む。

 でも、私はまた立ち上がって走り出した。
 
 ......約束したよね。

 指切りをして、約束したよね。


 『......死なないでね。“約束”......だよ............約束する。いなくならないって』

 『......ああ』

 それで、私は小さくささやいたんだ。

 『......このことが解決したら、会いに行っていい?』

 その言葉に、君はうなずいた。

 
 私、約束守ったよ。

 死んでないよ。ここにいるよ。

 解決したら、会いに行っていいよ、って君は言ったよね。


 会いに行くよ。

 たとえ、何度だって、何度だって。


 ———もう一度、君に会いに行く。
    何度だって、君に会いに行く。


 屋上の扉が見える。

 ドアノブに手をかける。ひねる。

 カチャ、と音を立てた。

 開ける。開ける。

 こっちを振り向いて、君はいる。

 私を見ている。



「———氷空?」



 ......久しぶりに見たよ。

 目頭が熱くなって、私は笑った。

 名前を呼ぶ。



「......ひか、りっ......」