「......なあ。氷空、ここで変わって一人じゃないってことに気づいて、心から本当に笑ってくれると思うか?」



 その願いを口にしてしまう。

 氷空は、氷空には、心から笑っててほしい。

 俺らもそう願ってる。



『そうなると、いーよなあ』



 氷雨も、同じことを願っていたのかそういってきた。

 今、こんなことを言ったってなんも変わらねーよな。

 

「ってなわけでよろしくな」

『ああ、もっちろんだ。まかしとけ』



 俺らはそう告げて、

 ーープツッ。

 電話を切った。

 氷雨のあの様子なら、しっかりやってくれるだろう。

 ......明日には、新しい席になってるはずだ。

 

「...はあ......」



 俺は一人、理事長室でため息をついた。

 まったく、なんて仕事の量なんだ。

 俺の机にどどん、と効果音が付きそうなほどそびえているのは..................

 もちろん、理事長の仕事。

 書類の山が、理事長の机を埋め尽くしていて、多分座っている俺も見えないくらいに高く高く積まれていた。