この星に生まれた、何よりも誰よりも。

 あせって抜け出そうとするけど、全然だめだっ。

 抜け出せない......!

 なんでですかぁっ!

 ......なんて、頭の中で一人騒いでいるうちに、ぐんぐん茨が成長してるっ。

 伸びてきた茨が、足元をすくう。

 伸びに伸びた茨が、腰のあたりに絡みついた。



「きゃ......」



 バランスを崩して、その場に倒れこむ。

 尻もちをつくと、茨がさらに足や体に絡みついてくる。

 しかもこの茨、成長ってか伸びていくごとに棘も鋭くなっている気がする。

 棘が足や手に刺さって、血がにじむ。

 っどどど、どうしたらいいんだろうっ......。

 慌てていると、《リーパァー》がふいに近づいてきた。

 体をこわばらせ、警戒する。

 すると———。



「え......」

「......」



 《リーパァー》が、今まで持ってた茨が咲き誇る銃じゃなくて、ポケットから新しい銃を出したから。私は固まってしまって。

 でも、《リーパァー》はその銃で、私の近くに向けて弾丸を放って。思わず、目をつぶると、何か拘束していたものがなくなっているのが分かって。

 だから、そんな気の抜いた声を出してしまったんだと思う。

 

「これ...、茨......」

「......」



 私の足を拘束していたものがなくなって、目を開けると、そこには私の周りだけ、茨がなかったんだ。

 棘も、全部抜けてるみたいで。

 反撃しなきゃ、気を抜いたらダメでしょ。

 そんなことが一瞬、この時だけ、頭から抜け落ちてしまって。

 私は驚いて、《リーパァー》を見つめた。

 ......なんで、《リーパァー》が...? 助けてくれた......?
 
 

「なんで............?」

「......」



 そう聞くと、《リーパァー》が静かにうつむいた。

 

「............さぁ、なんとなく......」



 なぜ自分があんなことをしたのか理解できないという風に、そう言葉をこぼした。

 こっちも本当に訳が分からない。

 感情はあるみたいだし、なぜかそれに気づこうとしていないし。

 今までの戦いは何だったんだよと、言ってしまいたくなるくらいの謎っぷり。

 気の張った状況なはずなんだけど、のほほんと首をかしげた。

 ほんっと―に、謎。謎すぎる。