ごめんなさい......犯罪になってしまうかもしれないけど......、この方法は試してみる価値はあるから......。

 少し離れていたところに落ちていたナイフをひろう。

 これはさっき、カツン!と音がして落ちたナイフだった。

 それをつかみ、足に絡みつく茨に振り下ろす。

 すると、硬い感触がナイフを通して手に伝わる。

 かたい......!

 茨は結構硬くて、なかなか切りきることができない。

 ナイフをつかむ手に力を込めて、私は茨を切り伏せた。

 そのまま、ナイフを地面に落とす。

 ナイフを使って戦ったって、なんの意味もないよ。

 殺し合いに発展しちゃうだけ。

 ......って、もうそうなってるかもしれないけれど......、でも、こんなのはあんまりだ。

 

「......ねぇっ......なんで......」



 思わず声をかける。

 《リーパァー》が真っ黒で光のなかった瞳を揺らした。

 まるで何かに戸惑っているように、瞳を小刻みに揺らす。

 ......え?

 私はというと、そんな《リーパァー》に驚いてしまって、揺らされた瞳に見入る。

 なんで、そんな......、

 迷子の子供のような瞳をしているの......?

 戸惑いが隠せない。

 《リーパァー》が、なんで......。

 もし、かして......、



「もしかし、て......《リーパァー》感情がどーだこーだ言ってて、否定するけど......自分に感情があるってこと......」

「なんのこ、とだよ......」



 《リーパァー》が動揺したようにそう言って。

 その声が、震えてて。その声から、震えているのが伝わって。

 私は、息をのんだ。

 《リーパァー》って......本、当は.........わかってた......?

 目を見開く私の前で、弾丸が飛んだ。

 瞬間、足元から茨が咲き誇る。



「っ!」



 茨が足に絡まって、棘が刺さる。

 な......っ。

 茨が強く足に絡みついて、動けなくなる。

 微動だにしない《リーパァー》を視界の端にとめて、何とか茨の拘束を抜け出そうと頭をひねる。

 う......うごかない......⁉

 やばい......《リーパァー》もいるのに、このままだったら......っ!