ポツリ、ポツリ。

 雲はなくなっていたのに、静かに水滴が地面にしみこむ。

 ───行け。

 そう言われている気がした。

 《リーパァー》がにやり、と笑う。

 銃を私に向けて、発砲した。

 銃口と視線を見ていればよけることができる。

 足首のあたりを銃弾が素通りしていく。

 ちょっと動きながらしているから、避けられるかわからない。

 どう動いているんだ、と思うくらい無茶苦茶に。

 ナイフが飛んでくる。

 何本も、何本も。

 首に当たらないように首元を腕でかばう。

 さくり、と何気ないことのように首元をかばった腕に刺さったナイフを見ながら、私は必死に足を動かした。

 血があふれる。流れる。

 痛みが後になって襲ってきて、奥歯をかみしめる。

 痛みを感じながら、次々と降ってくる攻撃を避ける。

 カツン!

 ぐっ、と踏み込む。

 間合いを詰める。

 痛みなんか関係ない。

 そんなもの、忘れてしまえ。

 私がこいつにできるのは、せいいっぱいの復讐。

 こいつを心からいい奴にする。

 それが、私にできるせいいっぱいの復讐だ。

 日々、何も感情を持たないように自分を押し殺して、誰かに痛みを負わせる。

 それだけが欲になって渦巻いている。

 それが自分の中心となっているこいつらの、心根を正してしまう。反省させてしまう。

 それが、私にとってのあんたらに対するせいいっぱいの復讐だった。

 

「痛ッ......!」



 足首に茨が咲き誇る。

 茨が足に絡みついてきて、棘が足首に刺さった。

 ......なに、これ......!

 

「この銃はな、弾丸から茨が出てくるようになっている。当たっても当たってなくても殺傷能力はあるさ」

「ッ......!」



 私は足に絡みついた茨を振り払う。

 でも、棘が刺さってしまっていて、うまく抜け出せない。

 どう、したら......っ、

 抜け出す方法を考えるべく、必死に頭を回転させる。
 
 考えて、考えて、考えて......。

 ...そうだ!