美弥の無邪気な笑顔。

 疾風が励ましてくれた時の不器用な優しさ。

 お兄ちゃんと交わした約束。

 そのどれもが、きっと......。



「友情、切情、愛情、......ほかにももっとある感情は、」



 美しく、はかなく、優しく、苦しく、つらく、あたたかく、涙が出てしまいそうなほどに透明。

 

「誰かから向けられる感情は、自分にとっての力になる───」



 全部全部、あのころからの物語。

 笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も、不機嫌な顔も、上機嫌な顔も。

 全部、あのころから始まる物語。

 死ぬまで終わらない、
 ............................死んでも終わることのない物語。



「まったく理解できなかったが、そうか。サイゴにそれが言えて、よかったんじゃないか?」



 そう告げて、うつむいていた顔を上げて。

 《リーパァー》は、銃に弾を込めた。