この星に生まれた、何よりも誰よりも。

 でも、それでも、いいんだ。

 星が、「大丈夫」って言ってくれたから。

 そのたった一言だけで、私はもう、私のままでいられるの。

 もう、私はあのころとは違うよ。

 大切なものがなくなっていくのを、ただ突っ立ってみていたあのころとは、違うよ。

 そんな気持ちを込めて、にこりと笑うと、《リーパァー》が話を切り出した。



「《ナイトメア》、」

「《ナイトメア》じゃないよ。氷空だけど」

「そうか、分かった。《ナイトメア》くん、」

「だから違うって」

「戻ってこないかい?」

「だからちが............................はい?」



 言い返そうとして、思わずそんな声が出た。

 もどる?

 どこに。

 っていうか、分かってるけど、今更、なんで?

 

「ごめんなさい、もう一度いってくれます?」



 信じられずにそういうと、《リーパァー》が二コリ、と笑顔を作っていった。



「戻ってきてくれないかい?」

「............................はい?」

「だから、戻ってこないかい?」

「は?」



 意味不明。

 理解不能。

 支離滅裂。

 主語がないし、わざと遠回しに言っていて、なんかすっごいもやもやする。

 ハッキリ言ってほしい。

 そのほうが、こっちもはっきり断りやすい。



「え、いやです。お断りさせていただきます」

「戻ってきてくれるんだね。それはよかった」

「そんなこと言ってないんですけど何様なんでしょうか?」

「戻ってきてくれるって言ってたよね君は鶏だったのかな?」

「3歩歩いてもないし、それくらいでは渡し忘れないんですけど」

「え?」

「ん?」



 途中から、毒舌の言い負かし大会にかわる。

 まあ、それはしょうがない。

 きっと、こんなこと言うんじゃなかった......。

 とか、緊張感なさ過ぎて怖い......。

 とか、思ってたりすんのかな。

 逆にそのほうが、私としては都合がいい。

 全面対決は被害が出る。

 そんなことを思って、笑顔のままニコリとして毒を浴びせる。



「ていうかそっちこそはっきり言ったらいいんじゃないの?」

「戻ってきたら、ってもう十分俺らにとってははっきりしてると思ってたんだけど」

「知ってるけど、遠回しに言うとかめんどいよ、嫌われるよ?」

「っていうかそんなこともわかんないほどお前はバカだったのか」

「ばかじゃないですけど? 結構成績いいほうだと思うんですけど、見る目ないんですかね~?」