美弥は笑顔になってうなずいて。

 私はその笑顔を見て、お兄ちゃんや、疾風や、楽しそうに話している皆を見て。

 青く、青く、濃くなっていく空を見て、キラッと光る(ほし)を見て。

 短冊に書いた願い事が、これから先もずっとかなうといいな、って、思った。

 『これからも、みんなの笑がおがみれますように』

 まだ少し、習いたてだとわかるような文字で。

 そんな願い事が書かれていた。

      ◇  ◆  ◇


「それで? ()()のあいさつはできたのか?」



 そう、にやにやと笑いながら風山(かざやま)が私たちのそばに近づいてくる。

 その後ろ、というかほぼ隣には、《死神(リーパァー)》と、《死術師(マジシャン)》がいた。



「挨拶は済ませたみてぇだな」

「......」




 私は返事をしないで無言のまま、入ってきた人を見た。

 んー、やっぱりこの人たちか。 

 一番縁が深いのって、私だもんね。

 《リーパァー》、《マジシャン》、風山。

 きっとこの人たちは、私たちの中で、私が一番縁が深い。

 ていうか、この人たちはまず最初から私目当てだから。

 3人しかきてない......。

 私は表情を変えずに少し眉を寄せた。

 なんで、3人だけなの?

 それって、なんかおかしくない?

 だって、私目当てで私をやりたいなら大勢で取り押さえて、そこをやればいいはず......。

 人数が少ないほうが、ばれる可能性が少なくなるってこと?

 でも、それは結構腕の立つ人じゃないと、逃げられちゃうんじゃ......。



「いぶかしげな顔をすんなよ、《悪夢(ナイトメア)》? 
 あんときのガキがお前で、あいつがお前の兄だとは思ってなかったもんでよ」

「............《ナイトメア》って呼ばないで。お兄ちゃんのことも口にしないで」

「そうかぁ?」



 っ、なんなんだろう。

 ............目的は何なんだろ。

 わざわざ《ナイトメア》って呼んでくる、お兄ちゃんのことを口にする、意味が分からない。