この星に生まれた、何よりも誰よりも。

 視界の隅で、みんなも戦い始めたのが見える。

 きっと、本当は何も変われてなくて。

 あんなに偉そうなことを言ったけれど、何も変われてなくて。

 だけど、自分だけじゃ、ここまでこれなかった。

 みんなが見つけてくれたから。

 みんなが笑いかけてくれたから。

 だから、私はここに立っている。

 何も変われてなくても、みんなは私を必要としてくれていた。

 たったそれだけで、私は自分のことが輝く(ほし)のように思えるんだ。

 それだけで、私は。

 私は、願う。

 ———いつまでも、みんなの笑顔が見ていられますように。

 知らない。

 分からない。

 みんなは何を思ってるかなんて知らない。

 でも、だからこそ、きっと私たちは笑いあえる。

 私たちは、願うことができる。

 みんながいるから、一人じゃできないことができるんだ、なんて、きれいごとかもしれないけれど。

 でも、私がここにいるのは、みんながいてくれたからだ。



「こんなことしていいのか?」

「......?」

「お前が殺したやつら、お前のこと、嫌いだったんじゃないか?」

「確かに、そうかもしれない」



 《リーパァー》がそう言って、私を挑発する。

 いつの間にか、空はうっすらと、雲が薄くなっていた。

 “月殺”のやつらが、少しずつ倒れていくのが見える。

 みんなが、必死に戦っているのを視界にとらえて、私は《リーパァー》の顔を正面から見る。

 そうかもしれなくて、美弥は、疾風は、お兄ちゃんは、私のことが嫌いかもしれなくて。

 だって、私のせいで、みんなはいなくなっちゃったんだから。

 だけど、でも。


 『肉じゃが!』

 『......』

 『えっ? えっ? あれっ、氷空って肉じゃが好きだったよね⁉』

 『......ごめん』

 『なんということだもう好きじゃなかったみたいどうしよう⁉』

 『いや肉じゃが好きだけど。もう知ってるよ、そのブツの話は』

 『どこかの闇の取引みたいだな......』

 『それに同意せざるを得ない状態』


 4人で笑いあった記憶が、浮かんで消える。

 

「そうかもしれなかったけど、私は、みんなのことが大好きだった............!」