そう信じたい。

 ............まあ、たぶんいるよね。

 ものすごくため息をつきたい日あるよね?

 私は本当に相変わらずテーブルの周りをグールグル。

 すると、



「......っ⁉」

「ずっとそうしてんぞ、座れば?」



 星に目を隠され、私は強制的に座らされた。

 び、びっくり、した......。

 私は高級そうなソファに腰を掛けて、さっきとは別の意味で息をついた。

 いきなりそんなことされたら、びっくりしちゃうよ......。

 きっと、そんなんだから、すごくモテるんだろうな。

 転校初日、初めて会ったけど、すごく騒がれてたもん。

 アイドルのライブ? って思うくらい。

 すごくかわいい女の子たちも、いたし......きっと、私のことなんて............。

 はっとして、私はパチン、と頬を軽くたたいた。

 だめだめ。

 そんなこと考えてる場合じゃないんだよ。

 今日は、血戦の日。

 だから、そんなこと考えてたら、動きが鈍って、すぐにやられちゃう......。

 『もう、ダメだよ? 気を抜いたら。
  ——この世界では、0.1秒が命取りになるから』

 私も、そんな風に言ったとおり、隙が命取りになる。

 だから、こんなこと考えてたら、すぐにやられちゃうっ............。



「にしても......氷空、ほんとにやるの......?」

「へ?」



 陽詩が心配そうに、気まずそうに言ってきて、私は口をポカンと開けた。

 ほんとにやるって、これから起こることに参加するのかってこと?

 

「やるよ?」

「でも、ケガしてるでしょ......? 平気?」

「う、うんっ......! 平気だよ......!」



 私は言葉に詰まりながら、そう言った。

 実は、私ケガしてたんだ。

 みんなに見つかってしまったとき......《死術者(マジシャン)》と対決して、足と腹をケガしちゃったんだよね。

 だから、包帯がまかれている。

 けがって言っても、私はこういうの慣れていたから、大丈夫なんだけどな......。

 そう思って、苦笑い。

 普通は、......慣れたり、しないんだろうな......。