息を吐きながら、静かに髪を束ねる。

 というか、ヘアアレンジ? って感じかな......。

 左耳のあたりを、編み込みする。

 途中からみつあみになっていて、私はみつあみが終わっているところにリボンを付けた。

 真っ赤じゃなくて......きれいな、群青のリボン。

 私の髪の毛の色よりも、濃い色のリボン。

 黒色の長袖のパーカーと真っ赤な真紅のミニスカート......は、きていない。

 《悪夢(ナイトメア)》としての私じゃなくて、氷空として、向き合いたかった。

 って......こういうときは、《ナイトメア》として向き合ったほうがいいのかな......。

 どうなんだろう......。

 私は、頭を悩ませながら、着替えをして部屋の中に入った。

 

「氷空っ! ヘアアレンジしてるー!」



 部屋に入った途端、りいがきゃー!と、声を上げてきて驚きながらも返事をする。



「えへへ......」

「何それかわいいーっ‼」



 困ったような笑いも可愛すぎる!

 と、抱き着いてきたりい。

 私はかわいいを連呼され、照れながら、小さく笑った。



「ファンが増えちゃう......!」

「ふぁ、ふぁん......?」

「そうだよ!」

「こんなかわいいところ見たら、誰でも恋に落ちる」



 ふぁん......?

 はげましてくれてるのかな?

 誰でも、恋に落ちる......とか......。

 うん、きっとそうだよね?

 私は笑顔で「ありがとう」と返した。



「......待って。嘘じゃないよ?」

「ふふっ、うん」

「噓じゃないからね⁉」

「うん......?」

「絶対わかってない......‼」



 なぜか必死の形相になる二人を見て、首をかしげた。

 何をそんなに必死になってるんだろう......?

 

「噓じゃないから‼ ほんとだから!」



 そう言い募る二人を見て、よくわからないけれど、うなずいた。