「落ち着け。............大丈夫だ」

「......っ......あの、わた......」



 何か言わなきゃ、と思って口を動かす。

 だけど、星が私の声を遮った。



「なにも、言わなくていい。............いうのがつらいなら、何も言えないなら、なんも言わなくていいから」



 ............っ。

 なんで、分かるんだろう。

 私が、今、考えていることを。

 私が、不安になっていることも、なんで気づくんだろう。

 ねぇ、星はいつも助けてくれてるけど............星は、誰に助けてもらってた?

 何に救われて、何をもらって、今まで生きてた?

 知りたい。知りたいよ。

 星のことが、知りたい。

 ———すき。

 星のことが、好きだ。

 星は誰に助けて、何をもらって、どんなことをして、生きていたんだろう。

 私も、星を助けてあげたい。

 私も、星に何かを............あげたい。

 星の、助けになれてたら............星の、大切な記憶の、思い出の中に。

 その中に、私がいたらうれしいな......。

 そう思っていた時。

 

「......っ......⁉」



 私を抱きしめていた腕を解いて、私の肩を引き寄せた星。

 肩と肩が触れ合って、ふれたところから熱が伝わってくる。

 私の肩をはなし、私の頭を、優しくなでて......星の肩に、引き寄せた。

 私の髪の毛が、星の顔に触れている。

 私が、星に寄りかかってるような構図。

 星は、優しく......そっと、ささやいた。



「こっちのほうが、寝やすいだろ」

「〰〰〰っ!」



 それだけで、顔が赤くなっていくのが分かった。

 っ......ほんとに、ズルい............。

 私は、赤くなった顔をごまかすかのように、瞳を閉じた。

 疲れがたまってたのかな......?
 
 逃げるときに、いっつも徹夜してたからかな......。

 私は、少しずつ、眠くなっていく。

 そして、瞼が落ちてきて、私は寝よう、と眠りについた。



「......きだ。......すき、だ」



 囁くように紡がれた、......彼の声は、もう聞こえなかった。