リュックからノートパソコンを取り出す。

 カタカタカタカタ、とキーボードを打つたちに音が鳴る。

 私はその音を聞き流しながら、手を止めることなく動かした。

 すると、

 ピコン♪

 と、メールが来た時になる音。

 私はスマホを取り出した。

 

「みせてー」



 覗き込んでくる皆。

 みんなと一緒に、メールの全文を確かめる。


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 Dear:《悪夢(ナイトメア)



  久しぶりだね。

 《死術者(マジシャン)》とは会ったようだけど、どうだったかな。

 キミの誕生日の一か月後、大聖堂の鐘が鳴り響くとき、我らの血戦を始めよう。



 from:《死神(リーパァー)
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 やっぱり、分かってる。

 私が、《ナイトメア》だってこと。

 

「なにこれ......」

「大聖堂の鐘? って何のことだ?」

「血の戦い? どうこと?」



 みんなが口々につぶやいた。

 血戦は、私の誕生日の一か月後。

 ってことは............



「今日って......」

「10月24日」

「時雨、氷雨......分かってるじゃん」



 いつか聞こうとすると、時雨と氷雨が先回りして答えた。

 よくわかってるなあ......。

 感心した。

 10月24日。

 ってことは、血戦まであと二日。

 二日か............何かできるかな。

 迎え撃つ......のはできなさそう。

 相手はなんたって、《リーパァー》たち、“絶死願(ぜつしがん)”のメンバーだもんね。

 結構、強いんだよね、あの人たち。

 にしても、みんなまで巻き込んじゃうなぁ。

 やっぱり、みんなには......いなくなってほしくない。

 私はメールを見たり、考え込んだりしているみんなを、ちらりと盗み見た。

 私一人で、どうにかするしか............。



「戦闘服が必要かな? 戦うなら」

「そうだな、あと下調べもして......」



 そんなことを言い始めて、私は目をこれでもかというほど見開いた。

 もしかしてみんな......戦うつもりっ......?

 それは何でも、危なすぎるよ......!