でも、ふわり、と温かさに包まれて、顔を上げる。



「............っ、そういうとこ、嫌い......今度、こんなことしたら......許さないから............怒るよ⁉」

「ひ、なた......」

「そうだよ、そーいうとこ嫌い! なんか言ってほしかった......!」

「っ......りい......」



 陽詩とりいが私を正面から抱きしめてくる。

 ぽたぽたぽた。

 陽詩とりいが泣いていて、涙声で、そんなことを言ってきて。

 だから私も、目頭が熱くなる。

 私のことで泣いてくれている二人が、あたたかくて。

 生きてる、っていうのが分かった。

 熱いものがこみ上げてきて、必死にそれを耐える。

 なんで............なんで、



「なんで............そんなに優しいのっ............」



 そんなどうしようもない声がこぼれて、ますます熱いものがこみ上げてくる。

 生きててほしいって、改めて、思った瞬間だった。

 カチャ、と音がして時雨と氷雨が入ってくる。

 時雨と氷雨が私たちを見て、微笑んだのが分かった。



「何も言わなくて、ごめんっ..................」

「大丈夫だぞ~」

「やっぱ氷空は氷空だなー」



 時雨と氷雨がそんなことを言いながら、頭をなでてきて。

 私は静かに、涙をこぼしてしまった。
 
 泣きやんで、時雨と氷雨を見る。



「その感じだと、言えたみてえだな」

「うん、言えたよ。ありがとう」



 私はまだ、涙の残った顔で、小さくほほ笑んだ。