この星に生まれた、何よりも誰よりも。

 本当に楽しくて、毎日飽きない。

 あっ、そうだ。と、美弥が声をあげて私を見た。

 なんだろう?

 

「ねえ、知ってる⁉」

「知らないけど、何を?」

「今日はっ、でるんだって!」



 出るって何が?

 幽霊とかお化けが出るみたいに言ってるのは、ちょっと......だと思うよ?

 主語がないって、主語が......。

 っていうか、もうすでに、このやり取りをやったような気がする............。



「肉じゃが!」

「......」

「えっ? えっ? あれっ、氷空って肉じゃが好きだったよね⁉」

「......ごめん」

「なんということだもう好きじゃなかったみたいどうしよう⁉」

「いや肉じゃが好きだけど。もう知ってるよ、そのブツの話は」

「どこかの闇の取引みたいだな......」

「それに同意せざるを得ない状態」



 私と美弥の会話を聞いて、疾風とお兄ちゃんは、そんな言葉をやり取りしたのだった。

 そうやって、みんな......私たち4人で楽しく、笑いあいながら過ごしてた。

 ..................なのに。

 翌々日。

 いつも通りに、同じ時間。

 今日もいつもと同じ時間に起きて、ちょっとベッドの中で本を読んじゃったりしてた。

 ..................んっ?

 何か聞こえる。

 気になるなぁ......。

 物音がして、私は音をたてないように慎重に階段を下りる。

 何かあったのかな?

 こんなことは初めてだ。

 すごい音がして、私は息を止めた。



「おまえらぁあああ‼」



 ......何っ⁉

 呼吸が乱れる。

 私は、荒い息を吐きだした。

 とたん、



「みーつけた?」

「......っ......?」



 目を見開く。

 目の前に、ニヤリと不気味に笑う知らない人。

 黒いパーカー。黒いズボン。こげ茶なブーツ。

 そして、印象的な“仮面”。

 黒いフードに隠れた、漆黒と真紅の仮面をつけた男の人。



「氷空っ......!」



 お兄ちゃんの声が聞こえる。

 その人はまた不気味に笑って、私を肩に抱きかかえた。



「............んじゃ、こいつにする。ほら、金だ」