お兄ちゃんと話しながら、学校の校門を潜り抜ける。

 そうなのだ。

 私たちはこの間、小学2年生になったのだった。

 クラス替えがあって、ある女の子と一緒のクラスになった。

 その女の子は............



「おっはよーっす!」



 どっ、と何かが飛びついてきて、その重さによろめきかけながら、私はジト目で彼女を見た。



美弥(みや)......」

「なんでそんなに白い目で見てくるの⁉ もしかしなくても、氷空ってみやに冷たくない⁉」



 自分のことを「みや」と呼ぶこの少女こそ、同じクラスになった女の子だった。

 なんだかんだ、私にかまってくる不思議な女の子。

 そうなのだ。

 最近、私には美弥という、親友ができたのだった。

 不思議な女の子なのに、一緒にいてもちっとも飽きないような、そんな女の子。

 

「そんなことはあるかも?」

「ひどい~! 空杜(そらと)っ、氷空がこんなこと言ってきたんだよ~!」

「いや、もう聞こえてるから。最初から」



 朝の準備をして、教科書を取り出しながら、そんな会話をする。

 空杜、っていうのはお兄ちゃんの名前。

 幸原(ゆきはら) 空杜、幸原 氷空。

 私たちは、誕生日が3日違い。

 空色の目、空色の髪の毛のお兄ちゃん。

 氷空色の目、氷空色の髪の私。

 だからか、少し珍しげな視線が注がれているのだ。

 なのに、それを気にせず私たちにかまってくるのは......



「..................美弥、氷空、空杜、うるさい。隣のクラスまで聞こえてるぜ」

「いいもんっ、ベッツに聞こえててもー!」



 疾風(はやて)と美弥、二人だけ。

 疾風、というのはお兄ちゃんと仲良しな男友達。

 だからよく、4人でつるんでるんだ。

 よく、というかいつもだけど。