お弁当、食べてない......。

 なんとなくここにいたくなって、時雨にこう声をもらした。



「ねぇ、ここでお昼ご飯食べてもいい............?」

「なんだ、どうした?」



 振り向いた時雨が驚いた顔をしていて、やっぱり、だめだったかな............と、不安になってしまう。



「教室で食べなくていいのか?」

「...っ、うん......」

「おっけ」



 時雨、ありがとう............。

 そう思いながらお弁当のふたを開けて、ぱくりと卵焼きを口にほおばった。

 ここは、空来彩高校。

 有名な進学校だけど、暴走族もいる学校。

 ここには、あいつらがいなくて。

 あいつらみたいなやつばっかじゃないって知ってるけど。

 私が怖がらないように、みんなを本当の意味じゃなく信じることになるように、ただ(よろい)をかぶってるだけ......。