『そらーっ! 見つけたぁー!』

 『......そーらっ! なめるなよ!』

 『おれ、氷空の優しさに賭けてみるわ』 

 『......氷空っ!』『そ、ら............?』

 『————氷空っ! 氷空、しっかり!』

 

「............」



 私は静かに沈黙する。

 もうこれ、確信犯じゃん......。

 何度も、私の名前を呼ぶみんなの声が頭の中を駆け巡る。

 ..................

 ............

 うん、ないしょにしとこう‼

 結論にたどり着いた私は、何とか初めの失敗をごまかそうと口を開いた。

 

「う、ううううううううううううんっ。誰かいてもいなくても、本名はよよよ......呼ばれてないよっ」



 思わず、声が上ずった。

 そんな私を見、時雨と氷雨は声を合わせて、あきれたように言った。



「「ごまかすの、下手」」

「............ていうか、言っちゃダメだろーが」

「まさかいうとは......ごめんな、氷空」

「なんでごまかそうとしてるってわかったの⁉」

「わかるだろ、そりゃ」

「なんでー⁉」

「............うん」



 急に遠い目をして、無口になる二人。

 おかしいって、ほんとに..................。

 あそこでわかるとか、感情読むの得意なのかな? 二人って、実は......。

 くすり、と笑みがこぼれた。



「やっぱ最高っ......」



 私はそうほほ笑んだ。

 最高。

 この暖かさも、ぬくもりも、笑顔も、なくしたくないよ——......。



「氷空、お前、いつまで隠すの?」



 何のこと?

 なんて、本当は分かってる。

 私の秘密。

 私の過去の物語。

 それを、いつまでみんなに隠すの?

 って、時雨と氷雨は言っているんだ。

 いいたくない、なんて、わがままかな。

 私は小さく唇をかみしめた。

 膝に乗せた手を、キュッと握る。

 こわいよ。

 みんなに、弱い私を知られたくないから。

 だから、私は今まで、隠してたんだ。

 でも、だから。

 みんなが私を、探してきてくれた。

 探さないでいてくれたら、きっと楽だった。

 でも、みんなは探してくれた。

 私を、見つけてくれた。

 だから————......。