この星に生まれた、何よりも誰よりも。

「やっぱり勝負はフェアじゃないとね?」

「............」

「じゃあ、——スタート」



 彼女が武器を持ち直し、向かってくる。

 彼女から放たれる攻撃を、短剣で受け流す。

 カンッ、カンッ、カン——。

 刃物と刃物がぶつかり合う音が響く。



「......っ」

「まだまだ~」



 私は、受け流すことしかできない。

 攻撃、しないと......。



「......氷空っ!」



 星と、琉宇の声がした。

 裏路地に入ってきてる......⁉

 このままだと、《マジシャン》は......っ。

 《マジシャン》は瞳と気配をとがらせた。

 あふれてくる殺気。

 途方もない量の殺気。

 その殺気を、彼女はメラメラと燃やしている。



「........................邪魔」



 シュガッ............。

 短剣が飛んだ。

 星と、琉宇に向かって、短剣が飛ぶ。

 私はそちらを振り向いた——。



「......」



 必死に声を出さないようにする。

 ぐさりと、腹に短剣が刺さっていた。

 ジワリ、と血が染み出す。

 私は、《マジシャン》へ攻撃を開始した。

 彼女も攻撃をしてくる。

 ほぼ互角な戦い。

 いったいどれだけそうしていたのか。

 いつの間にか、空が白くなりめていた。

 《マジシャン》は、それを見て、ふうっと息をつく。



「ま、こんくらいにしとくかー。もうちょっとしたかったけど、太陽が顔を出しちゃうもんな~」

「............」

「それに、《ナイトメア》はうちの組長(くみおさ)様がとどめを刺すし」



 帰っていこうとする彼女を呼び止める。

 血が、ぽたぽたと落ちる。

 痛い。

 慣れてるけど、久しぶりすぎて、痛いって感じちゃうな......。



「《死神(リーパァー)》に伝言。
 『売られた戦いは買うよ。でも......ワタシの大切な人たちに手を出そうとするなら、本気で行くから』」

「伝えとくわ。......Ladies and gentlemen(レディース アンド ジェントルメン)