この星に生まれた、何よりも誰よりも。

「久しぶりだね、《悪夢(ナイトメア)》。元気にしてたのかな?」



 からからと笑う、《マジシャン》。

 《マジシャン》は、“絶死願(ぜつしがん)”の幹部No.2。

 私がまだ殺し屋だった時に、同じくらいの力を持っていた殺し屋。



「ええ、そうね」



 私も返事をする。

 なんで、ここに......。

 気づかれないように唇をかみしめた。

 タイミング、悪いんだけど......!

 今、みんながいるの。

 私が生きていてほしい人たちがいるの。

 お願い。

 止めて............。



「ねえ、やるなら別の場所でしない? こいつら邪魔でしょ」



 私はそう言って、“群星(ぐんせい)”の幹部たちを冷たい目で見た。

 ごめんね。

 許して。

 みんなは、私が逃げたのに、恨んでも、嫌っても、憎んでもいなかった。

 ただ、ひたすらに助けようとしてくれてたんだ。

 だから、もういいよ。

 嫌っても、恨んでも、憎んでもいい。

 私なりに、みんなを守りたいんだ。

 そのためなら、どんな演技だって

 ————やってみせる。



「そうだねえ。でもせっかくなら潰しちゃわない?」

「それもいいと思うけどー、記憶消したほうがよくない? クスリとかでさー」



 みんなをつぶさないように、彼女を誘導する。

 すると彼女は、うなずいて。

 ナイフを、飛ばした。

 来夢たちに向かっていくナイフ。

 や、ばっ......。

 私は来夢たちの前に飛び出した。

 ——ブシュッ。

 足に、さくりと簡単に刺さるナイフ。

 血が、とろとろと流れた。



「ほらー、やっぱりかばうんだね。仲間なんでしょう?」



 ふふ、と彼女は笑って、短剣を飛ばしてくる。

 短剣を片手でキャッチする。

 彼女は、サーベルとレイピアを取り出して、刃の部分を和紙でふいた。