ううん、ダメダメ。

 変な期待は持たないようにしなきゃ......。

 今は夜じゃなく、昼。

 この時間帯は人が多いし、見られると困ってしまうから、最近は出ないようにしていた。

 もうまた見られたり、鉢合わせたり、写真を撮られたり......したらって思うと、もう大変だ。

 そうなったら、かんっぜんに終わった。

 やられる。

 これじゃもう、完璧なバッドエンド。

 ..................気を付けよう!

 私は静かに決意した。

 氷空姫も、あまり最近はいってない。

 行ってるけど、すごいくらい気を付けている。

 私が氷空姫ってことはばれてる。

 となったら、氷空姫の目撃情報やその位置も調べるはず。

 ますます、気をつけないとな。

 私は人気のない丘の上で、静かに目を閉じた。
 
      ◆

 
「さー、今日も行きますか!」



 一人、そんなことをつぶやく。

 カラ元気でもいいから、ポジティブにいきたい。

 10月後半。

 私は、夜の街を歩いていた。

 この辺は治安いいんだ。

 そう思うくらい、悪事が何もなかった。

 うーん。

 空来彩高校にいたとき、放課後に理事長室行くと、ムースケーキがおいてあったんだよね。

 おいしそうだな~って思ってみていると、時雨がふっ、て笑って、食べさせてくれたんだ。

 すごく、おいしかったなぁ......。

 みんなが懐かしい。

 まだ、あの温かさも、ぬくもりも、みんなの笑顔も覚えてる。

 鮮明に思い出せるよ。

 みんながかけてくれた言葉も、見えてくれた顔も。