何か、夢を見ていたような気がする。

 君が、必死に私を探して、私に笑いかけてくれている。

 そんな夢を、見ていた気がした。

       ◆

「はああああ~」



 私は、大きなため息をついた。

 数日前。

 夜の街で、りいと再会した。

 りいは、私がいなくなってどうしよう、と泣いてくれた。

 あの場所にいたら私の居場所がばれると思って、逃げてきて、結局私って弱虫なだけなんだなあ、といつも思う。

 ............ばれてないといいけど。

 ばれたら、ここまで逃げてきた意味がない。

 私は本当に、ポンコツだ。

 ばかだなぁ、私............。

 私はまたため息をついた。

 顔を見られたし、きっともうみんなにばれたよね。

 私が、氷空姫(そらひめ)......氷空(そら)ってこと。

 みんななら気づいてるはずだ。

 時雨(しぐれ)氷雨(ひさめ)が、そのことばらしたりしてるかな......。

 そんな考えが頭をよぎって、私は頭をフルフルとふった。

 いやいや、何考えてるの私。

 時雨と氷雨が、そんなこと言うわけない。

 私は、二人に『ごめんね』しか送ってないけど、二人は私のこと、言わないでいてくれるよね?

 ..................にしても、氷空って久しぶりに言ったな。

 氷空、なんて使わなさすぎて、......。

 心空(ここら)、なら聞いてばっかりだったんだけど。

 本名知ってるの、もう時雨と氷雨くらいだからな。

 本名なんて、今更呼ばれたいなんて思わない。

 でも............

 みんなに呼ばれたら、きっとうれしくなっちゃうんだろうなあ......。