「あーっと、何から言えば......?」

「いいから、もう言うな?」

「は、おれは⁉」



 なぜかコントを始めた校長と理事長。

 いい加減にしてくれ......。

 早く本題に入ってくれ。

 あいつに何かあったのかと思うと、気が気でない。

 そうして、理事長が話し始めた。



「俺らと空が出会ったのは、約7年前。夜で見回りをしていた。
その時、倒れている女を見つけたんだ。それが、氷空だった」



 約7年前?

 ってことは、小学3年生の時か。

 だが......倒れていた?

 あいつの状況がいまいち、よくわからない。



「それで、その時はまだ初代。あいつは、真っ暗な、感情がないやつだった」

「でも、すごく仲間思いで」



 ごくり、と息をのむ。

 感情のない......。

 何でその時俺は、あいつのそばにいてあげられなかったんだろう。

 もっと早くに出会えていたら......、そんな考えが浮かんだ。

 

「それでな、......って、これ以上は言えないわ」

「それで、昨日......」



 そう言い、スマホを操作する理事長と校長。

 俺は、そんな姿を眺めながら、別のことに気を取られていた。

 これ以上は言えないって......あいつの過去の話か?

 あいつのいない理由の話か......?

 でも、この様子から見るに、最後のは教えてくれそうだ。

 校長と理事長は、俺らにスマホを突き出した。

 ラインのグループ画面。

 氷空から、メールが来ていた。



『ごめんね』



 たった四文字。

 何が理由かもわからない。