「あなたたちには、絶対に言いませんっ!」

「ちょっとくらいいいだろー?」

「......っ!」

「な? ...........ここ」



 鮮明になってきた。

 りいと、誰かの言葉。

 誰かが、動いたのが分かった。



「奪っても言いわけ?」



 少し視線を動かして、りいたちの様子を見る。

 誰か、っていうのは男の人。

 声が低くて、すぐに分かった。

 男の人が、りいの顎をつかみ、りいの唇を指でなぞる。

 りいは、それをヒヤリと見つめた後。

 ...........ガンっ!

 思い切り男の人の腕をつかみ、投げ飛ばした。

 ...........ええぇぇええ⁉

 りい、けんかできるの⁉

 男の人が壁に打ち付けられて、りいはぱんぱんっとほこりを払った。

 ......つ、つよ...........。

 りいががこちら側に向かってくる。

 私がいなくても、りい、やったじゃん。

 元気そうで安心安心......、



「っ⁉」



 思いっきり、りいが腕を引っ張られた。

 後ろから引っ張られて、りいは後ろに倒れこんだ。

 ...........なっ......!