この星に生まれた、何よりも誰よりも。

 私が部屋の隅っこでふてくされていたら、お兄ちゃんが私に話しかけてきてさ。

 やっぱり、どーもこーも私は反応しなくて。

 お兄ちゃんは幼稚園での話を持ち出したんだよね。



「ねぇ、ようちえんでのことなんだけど——」

「......うるさい! べつにいいでしょ⁉ ほっといて‼」



 私はまだまだ子供で、八つ当たりしちゃって。

 なのに、お兄ちゃんは嫌な顔一つせずに根気強く私に話しかけた。



「すっごくかっこよかったよ!」

「......え?」



 お兄ちゃんが興奮した顔でそう私に言って、私はお兄ちゃんに目を向けた。

 かっこよかったって......私、あの子のことたたいたのに......なんで............?

 私はもう完全に困惑。

 だって、叩いちゃって先生にも怒られたのに、かっこいいって、おかしくない?

 おかしいけど、お兄ちゃんは私を見て、



「かっこよかった‼ ほんとうに!」



 そう言ったんだ。

 私は信じられなくって、



「どこが? わたし、おんなのこたたいちゃったんだよ?」

「いや、かっこよかったよ。おんなのこにばしってやったそらは、ほんとにかっこよかった」



 お兄ちゃんが真剣な顔でそう言って。

 お兄ちゃんの顔に、うっすら影が差して、お兄ちゃんの青い瞳が映えて。