【side氷雨】





 その日は、学校に残って仕事をしていた。

 9月26日。

 今日は、氷空(そら)の誕生日。

 あいつ毎年のように忘れてるんだろうな。

 去年もおととしもその前もそうだった。

 というかであった時から自分の誕生日に関心がなかった。

 にしても............。

 

「はあああああああああああぁぁぁあああ............」



 声のしたほうを見れば、時雨が机にうつぶせになっている。



「........................。..............................どうした」



 俺は重い声できいた。

 時雨がうんうんうなりながら答える。



「だってぇえ——............」

「あぁ」

「きょう~~~」
 
「あぁ」

「そぉらぁ——のぉ————」

「あぁ」

「だーんじょぉぉぉぉぉ——うびぃぃいい——......」

「あぁ」

「じゃあぁぁぁああ——......」

「あぁ」

「んんんんんんん————っ‼」



 時雨はその言葉と同時にがばっと起き上がる。

 そのまま固まると、数秒後また突っ伏した。