私もマンションへ帰ろうと足を向けた。

 どうしよう。

 もう、あの温かさがなくなってしまうかもしれない。

 みんなが、死んでしまうかもしれない................。

 そのとき、ふうっと耳に吐息がかかった。



「ひゃっ............」



 びっくりして、変な声が出てしまう。

 吐息がかかった耳を手で押さえ、横を向くと、星が「よ」と長い脚で私の横を歩いていた。



「な、なにして......っ」

「心空、全然気が付かないから」



 軽々とそういってのける星。

 なぜかわからないけど、かああああっと顔が赤くなってしまう。

 体温が上昇し始めて、心臓がどきどきどき、と強く脈打つ。

 ほんと、何なんだろう............。

 夜の風がふわりと吹いた。

 彼の髪がさらりと揺れる。

 同時に、制服のスカートがおとなしく小さく揺れた。

 

「どーしたの」