そろそろと、ゆっくり声がしたほうを見る。

 そこには。

 ほっぺたを真っ赤にして、目を吊り上げている、琉宇(るう)がいた。

 琉宇のほっぺたが真っ赤なのは、私がたたいたから。

 私はなんてことを......⁉

 すっごい動揺してしまう。

 ていうか、なんで......。



「ていうか、なんで私をかばったの? 私は私をたたこうとしてただけなのに...?」



 疑問に思って尋ねる。

 すると、琉宇はちらりと私に視線を動かした。

 

「......さぁ。そんなん知らねーよ」



 そう答えた後、琉宇は顔を伏せてしまった。

 顔は伏せているけど、ほっぺたの赤さが垣間見えた。

 腫れちゃってる......。

 琉宇のほっぺたをのぞき込み、状態を確認する。

 めちゃくちゃ痛そう.........。

 ...思いっきりやっちゃったからなぁ......。

 私なら別によかったんだけど、琉宇はだめだ。

 毎日、仲良くしてくれてるし。

 そう思い、琉宇に声をかける。



「琉宇、手当てする。だから、一緒に保健室行こう」

「..................は? 心空が?」



 私の言葉に、琉宇は目を丸くした。