「なんで教えてくれなかったの⁉」

「え? 何でって......」



 うーん。

 頑張って考える。

 あんまり、うれしくない日だから......?

 祝われたことが少ないから?

 それとも............、

 お兄ちゃんが、死んだ日が、9月26日......私の誕生日だったから?

 これ以上考えると、壊れてしまいそうで、やめた。

            ◆

 今日も、夜の街に繰り出す。

 ロングブーツよりも少し短めな黒色の革の編み上げブーツをはいた。

 制服から氷空色の大きめなパーカー、真っ白なミニスカートへと着替える。

 真っ黒な薄い革製の手袋を両手にはめた。

 黒髪のウィッグを取り、同じ色のカラコンを外す。

 すると、はらりと氷空色(そらいろ)の髪がなびいた。

 カツっ。

 今日も、同じ足音を立てて、夜の街へと歩いた。

 最近はまるっきり、悪事が減った。

 それはいいこと、なんだけど。

 なんか、悪い予感がするんだよね。

 私の知らないところで、私にかかわる悪いことが動き出しているような——。

 ......なんて、気のせいか。

 本の読みすぎかなあ?

 なんてことを考える。