そう思ったことが顔に出ていたのか、りいがまた言葉を紡いだ。



「星さー...。まったく笑わなかったんだよね」



 え? 

 まったく、笑わなかった......?

 でも、星は......最近よく笑ってた、よね............?

 そりゃ、最初はもっとツンツンしてたけど......。

 初対面の時を思い出して、私はちょっと苦笑い。

 つられるように、りいも苦笑いをした。



「星はさ、笑うことなんかなくて、泣くこともなくて、怒ることもなくて、不機嫌になることもなくて、機嫌がよくなることもなくって、ずっとずっと......感情を失ってたんだよね。ロボット、てゆーか人形みたいに」



 ロボット......。

 ...人形......。

 私の知らない星のことが、りいの口から紡がれて流れていく。

 笑うことも、泣くことも、怒ることも、不機嫌なことも、機嫌がよくなることもなくて、感情を失うって............どれだけ、苦しかったのかな?

 どれだけ、苦しかった?

 

「でもね~、星は最近よく笑うようになったんだよ。感情を見せるようになったっていうか」



 りいは、そこで言葉を止めた。

 一瞬、少しだけりいの唇が震える。

 これ以上先を、言うのを、ためらうみたいに。



「それはさ、なんでだと思う? ...............心空ちゃんがいたからだよ」



 私がいたから?