この星に生まれた、何よりも誰よりも。

「ここ、おいしくない?」

「すっごくおいしいです......!」



 どうっ?と尋ねてきた櫻川さん。

 私はにこにこしながらうなずいた。



「ていうか、敬語やめてよ~」

「じゃあ、りいって呼ぶね!」



 そんな会話をして、笑顔を浮かべる。

 いま私たちが来ているのは、『Café(カフェ)ciel(シエル)』。

 落ち着いた感じのカフェだ。

 お店の柱?っていうのかな...........壁が、きれいな深い藍色。

 藍色なんだけど、そこの壁に、ちらちらと透き通るような淡いはちみつ色を散らしている。

 室内も同じ感じなんだけど、窓が三日月の形だったり、満月だったり、星だったり、雲に隠れたお月様の形だったり。

 とってもおしゃれ。

 cielっていうのは、フランス語で『空』って意味らしい。

 私の偽名にも、本名にも、この『空』って字は入っている。

 ——幸原(ゆきはら) 氷空(そら)

   奇打(きうち) 心空(ここら)

 にしても、こんなお店があるなんて、知らなかったな...........。



「っていうか、紅茶しか飲んでないよね? スイーツもおいしいよ」

「えっ! 食べたい!」



 りいがほら、とメニューを見せてくる。

 メニューを覗き込むと、おいしそうなスイーツがずらり。

 どれもかわいらしいスイーツだ。

 おいしそうで、悩んじゃうっ...........。

 メニューの上を休む暇なく目をはしらせる。

 ん~、どうしよう。