「あ、ごめんね~。あたし、(ひかり)幼馴染(おさななじみ)なの!」



 ——幼馴染。

 ドクン、と心臓が大きく揺れる。

 チクリと、心が痛んだ。



「心空ちゃんじゃんっ」



 え?

 心が、ひんやりと冷たくなっていく。



「はじめまして、櫻川(さくらがわ) 梨衣花(りいか)っていいます!」



 やめて。

 なんだか、苦しいの。

         ◆

 あの後、教室に戻って、今日は教室でお昼ごはんを食べた。

 

「で?」

「え? なにが?」

「何かあったのーって聞いてるんだけど、」

「なにかって?」

神楽(かぐら)くん、とだってば」



 んんー、とよく考える。

 何かあったっけ?

 

「んんー、いや、ないなぁ......。あっ、名前呼ばれたぐらい? 
 あと、神楽くんじゃなくて、星って呼んだ」

「きゃー! 絶対、神楽くん心空に惚れてるって!」

「はああああ⁉」

「あいつが⁉ あいつが⁉」



 話の中に乱入してきたのは、大空と翼皐。

 なんだかすっごいあせってる...........ように見える。

 え?

 何かあったのかな?

 不安げにみんなを見ていると、チャイムが鳴ってしまった。



「あっやばっまた後でなここら」

「ヤバいもう戻らなきゃまたあとでね」

「えっ? うん、またあとで......」



 訳が分からないまま、返事をすると、陽詩が帰り際、申し訳なさそうに、



「ごめんね、あの人たち、ほんっと馬鹿で......」



 そう言ってきた。