うっ、どどどどうしよう......。

 神楽くんってば、自分がイケメンさんだっていうことを理解してない...........!

 ...こんなことされたら、みんなドキッとしちゃうよ......!

 なんて思いながら、授業に集中できないまま、ノートをとっていた。

 ...キーンコーン、カーンコーン......。

 チャイムが鳴って、教科書をしまう。

 たた、とかわいらしい足音が鳴って、私は顔を上げた。

 陽詩と大空と翼皐と、舞那(まな)、来夢、琉宇(るう)時円(じん)...........。

 最近は、お昼ご飯の時間も、2班と8班で言い合いになってる。

 だから、この光景ももう見慣れていた。



「心空、一緒にお昼食べよっ......」



 そのかわいいお誘いに、いつもと同じようにうなずこうとしたとき——。

 ————グイっ。

 ぇ...........っ⁉

 手を引っ張られ、つられるように立ち上がる。

 そのまま、転がるように教室を出る。

 う、わ......っ⁉

 引っ張られ、着いた先は空き教室。

 空き教室に、転がり込んだ。

 私の後ろで、からり。

 音を立てて、扉が閉まる。

 視線を上げると、目の前に広がる光景。

 ふわりと風になびき、小さく羽ばたくカーテン。

 電気のついていない薄暗い教室。



「...........もう、何やってんの」



 聞こえてきたのはそんな声。

 神楽くんの、声...........。

 ......なんで......?

 どうして、私をここに連れてきたの?

 分からなくて、神楽くんを見つめる。

 彼は私を見て、はぁ、と息を吐きだした。