この星に生まれた、何よりも誰よりも。

 すると、ふっと陰った。

 誰かが来夢の手首をつかむ。

 そのまま、誰かが私の肩をつかんで自分のほうへ引き寄せた。

 びっくりして、息をのむ。

 え?

 だ、だれ............?

 誰かは来夢の手首をはなした。

 来夢が、自分の手首と誰かとを目を開いて驚いたように見比べる。

 ......ふうっ、と、片耳に誰かの吐息が軽くかかる。

 ひゃ......っ。

 小さく肩を揺らすと、



「............来夢、調子に乗んな」



 そんな声が聞こえた。

 か、神楽くん.....⁉

 私の肩を引き寄せたのは、神楽くんだった、ってこと?

 ぐるぐると考えていると、来夢が「あー...........なるほど」とつぶやいて、前を向いた。

 なるほどって、何が......⁉

 ちょっ、ちょっと説明して......、

 そう思うも、身動きが取れない。

 ...........まだ、神楽くんが、私の肩を引き寄せているから。



「か、神楽くん? その、あ......」



 声をかけると、神楽くんは私の肩を引き寄せていた手を離した。

 でも、私に顔を近づけてささやく。



「...........なんかあれば、言えよ?」



 そう甘い声で言われて、小さく心臓が跳ね上がる。