私の口から震えた弱弱しい声がこぼれだす。

 攻撃ができないうちに、“月殺”の人たちはむくり、と起き上がった。

 “月殺”の人たちが次々と逃げていく。

 風山はそれを見て満足げに笑った後、自分も逃げようと校門のほうへ行く。

 風山は、私の横を通り過ぎる前にさらりと言葉を吐いた。



「............待ってろよ、」

「............」

「お前の幸せぶち壊してやるから」



 “月殺”の人たちが風のように去っていく。

 私は、それを見つめることしかできなくて。

 ぎゅうっ、と手を握りしめる。

 でも、それでも、

 やっぱり、私は。

 呆然と突っ立っている彼らのほうを振り向いて、



「もう、ダメだよ? 気を抜いたら。

 ——この世界では、0.1秒が命取りになるから」



 自分の気持ちを押し込めて、作り笑いを顔に張り付けた。



 『私が怖がらないように、みんなを本当の意味じゃなく信じることになるように、ただ(よろい)をかぶってるだけ......』

 そう、いつかにこぼした心の声を、

 『......ここにいたか』

 あいつらに居場所がばれてしまったという恐怖を、

 『おまえ、なんも変わってねぇなあ』

 そう言った時のあいつらを、

 『............待ってろよ、お前の幸せぶち壊してやるから』

 そう言われた時の恐ろしさを、

 全部全部、押し込めて、なかったことにして。
 
              ◆