でもその中でも、格段に強かったのは......

 ——神楽(かぐら)くん、だった。

 “煌舞(こうぶ)”の人たち、2班の人たちも、窓から飛び降りて、器用に着地する。

 その勢いで、“月殺”の人たちを倒していく。

 陽詩(ひなた)も、大空(つばさ)翼皐(つばさ)も、舞那(まな)も、次々と敵を倒していく。

 校庭は、修羅場になっていた。

 ひたすらに相手を倒していくけど、“月殺”の人たちもあきらめが悪い。

 どんどん、戦いが白熱していく。

 クラスのみんなも、学校の人たちも、今この戦いに意識を集中させていた。

 だって、思わず見てしまうくらい..................みんなが、きれいだったから。

 動きが迷ってない。

 みんなは、技を使って相手を倒していく。

 ............あっ。

 “月殺”のまだ残ってる人たちが確実に少なくなっていく。

 あと、ちょっとで勝てそう......。

 頑張れ......! もう少し......!

 そう思って、手を組み合わせる。

 強く手を握っていると、信じられないものが見えた。

 “月殺”のまだ残ってる人が、ナイフを持ってる......⁉

 負けていることにあせったのか、ナイフを取り出した“月殺”の一人。

 その人は、時円の一番近くにいる。

 でも、時円は気づいていない。

 気づいてるけど、相手が時円一人に2、3人いる。

 ナイフを持った人は、その手を高くに振り上げた。

 

「......っ」



 どうしよう。

 喧嘩が強いって知られたら......。

 考えただけで怖くなる。

 時雨(しぐれ)氷雨(ひさめ)に、迷惑かける?

 みんな......みんなに、迷惑とかかけることになる?

 でも、このままだと、時円は......

 ——死ん、じゃう?