「心空? どういうこと⁉」



 教室に戻ると、思いっきり詰め寄られる。

 

「あ、はは......」



 ど、どうしよう。

 やばい。

 でも、あそこでいかなかったら..................時円は殺されてた......。

 危ないって思って、勝手に体が動いてたんだよ..................!

 ......なんて言えず、私は乾ききった笑いで、ごまかそうと頑張っていた。


             ◆

「うおおぉぉぉぉぉぉお!!!!」

 

 いつものように休み時間を過ごしていると、そんな大きい声が窓の外から聞こえた。

 え..................⁉

 思わず窓の外を見て絶句する。

 だって、そこには......

 ——“月殺(げっさつ)”の、人達がいたから..................。

 

「............はじまったな」



 ぽつり、と時円の声がして、私はぎこちなく首を動かした。

 ............え......。

 何か、知ってるの......?

 “月殺”について......。

 固まった私の前で、8班の人たちが全員窓に手をかけた。

 ............えっ⁉

 彼らはふわりと羽が生えているかのように飛び降り、軽やかに着地する。

 彼らは器用に相手と立ち回り、“月殺”の人たちを倒していく。

 みんな、動きに無駄がなかった。

 来夢(らいむ)も、琉宇(るう)も、時円(じん)も強かった。