でも、たぶんわざとしたんじゃないんだよね......。

 氷雨をちらりと見て、安心させるように微笑んだ。

 

「はじめまして、奇打(きうち) 心空(ここら)です。仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」



 自己紹介をした後。

 おじぎしていたので、顔を上げるとみんなが私のことを見つめて無言になっていた。

 

「............」

「............」



 ......あ、あれ? もしかして、失敗......?

 無言が続くたび、だんだん不安になってくる。

 どういう、状況......?



「......あー、心空? 席は、窓際の一番後ろだ」


 氷雨がそう言い、席に着く。

 っていうか、この8班......。

 私だけ......⁉

 私の前の席は、ぽっかりとだれも座っていなかった。