「............来夢」

「ん?」

「わかった、認めるよ。私は殺し屋の幹部の1番目。《悪夢(ナイトメア)》、別名《鎮魂歌(レクイエム)》だよ。
 逃げ出してきたけど、ね‼ ていうか、なんで............」

「おれもおーなじー。逃げ出してきたんだけどな。おれは《無邪気(イノセント)》さよー」

「......知ってる‼」

「おれも知ってるけど」

「そうだね! そうだね‼」

「そうだけど」

「とにかく‼」



 バンっ、と机を勢い良くたたいて立ち上がった。

 来夢がさっきと同じように相変わらず私を見ている。

 

「とにかく、そのこと、みんなに言わないでね‼」

「知ってるがな」



 来夢がスラリと突っ込んだ。

 うん、知ってるのは分かってるけど......。



「二人だけの秘密だからね⁉」

「二人だけの秘密......。大空(つばさ)翼皐(つばさ)に怒られそ~」

「............なんで二人怒るの? 何で来夢は怒られるの?」



 来夢の返事に首をかしげると、来夢が「あーあ―あー、それいったらマジでやられるからなー」とあきれたように言った。

 ていうか............



「殺し屋なら、ふつうに勝てるよね? 幹部クラスなんでしょ?」



 そう尋ねる。

 来夢がむっ、と眉を寄せた。



「“元”殺し屋だから。まあ、負けるわけないけど」

「そっかー。つよそうだもんねぇ」

「............まあな。っつーか、心空(ここら)もそうだろ?」

「ばれた?」

「あほ抜かせ。もうわかってるしなあ」