行こうとすると声をかけられて、振り向く。



「——私?」



 ふわりと暖かい風の音があたりを包む。



「名前はないけど、コードネームならあるよ」



 口に人差し指を当てて。



「——氷空姫」



 風になびく髪の毛は、まるで涙のように、きれいな氷空色だった。