と、わたしがそんなことを考えていたとき。
「さて」
そろそろいい時間になったのか、三栗くんが立ちあがった。
いつもクラスメイトに見せている人のいい笑顔を向けられる。
「私の油を買ってくれてありがとう」
「あ、うん、どういたしまして」
「最近なにかと物騒だから早く帰れよ」
「あ、うん、それは、うん」
同じようなリアクションしかしないから、バカだと思われたのか。
くすりと微笑みにも満たない笑みを浮かべた三栗くんは、そのまま教室を出ていった。
ひとり教室に残されたわたしも、いそいそと戸締まりをして、すぐに教室をあとにした。



