まあ、食ってしまいたいくらいには。



あっという間にふたりきりになった。

女の子たちがばたばたと去っていった方を見つめていると。



「大丈夫か?」


あのときと同じように声がかけられた。

生徒会室ではじめて会ったときと同じように、簡単明瞭としたひとことだった。


なんだかそれがおかしくて、ふふ、と笑ってしまう。

いっぱい殴られて頭のどこかが切れてしまったのかもしれない。

突然笑い出したわたしに、芽野くんは戸惑っているようだった。


とりあえず頭を下げた。



「芽野くんありがとう、助かりました」

「甲斐田……鼻血が」

「鼻血? うわ、ほんとだ」


鼻の中まで切れちゃってるよ。

ずず、とすすってしまい鉄の味が広がった。


わたしははたとして芽野くんから距離を取る。



「ごめん、鼻血はさすがにちょっと」

「え?」

「あげられない、かも……」


ケーキの血も美味しいんだよね?


芽野くんは一瞬、なにを言われてるのかわからないと言った顔をしたものの、すぐに「……はぁッ!?」と叫んだ。