まあ、食ってしまいたいくらいには。



一斉にみんながそちらを振りかえる。

遅れてわたしも視線を向けると、そこに立っていたのは芽野くんだった。



「め、芽野くん……」


誰かが絶望を滲ませた声でそうつぶやいた。


さっきまで熱気立っていた空間が、一気に冷えていくのがわかる。

冷静になっていく女の子たちとは逆に、状況を理解した芽野くんの顔には怒りがありありと浮かんでくる。




「こんなところで、なにをやっている」

「あ、の……これは、ちょっと言い合いになっちゃって」

「一方的に暴力を振るうことが、きみたちの言い合いなのか?」

「っ、それは……」



芽野くんは生徒指導をしているとき、厳しい目をする。

だけどその中には親しみが込められていることをみんな知っていた。


ちゃんと生徒のためを思っていることを、わかっていた。


そんな芽野くんがいま、心底軽蔑したような目で女の子たちを見下ろしている。




「きみたちにはがっかりだ」