「いいなあ、三栗くんは」
「はは、羨ましい?」
甘い笑顔でそれを見送った三栗くんが、するりとわたしの前の席に腰をおろした。
わたしは、うん、とうなずく。
「羨ましいよ」
「素直だね」
「どうやったらあんなに友だちができるの?」
「私の人望かな」
三栗くんは冗談めかして言ったけど、ほんとうにそうだと思う。
人望、かあ……
「わたしも生徒会に入ったら人望あがるかなあ。たしか庶務、まだ募集してるよね」
「……真面目なこと言うと」
「うん」
「生徒会には入らないほうがいい」
「だよね」
もう一度、だよねぇ、と言ってうなだれる。
わたしが生徒会に入った暁には、人望がアップするどころか、きっと奈落の底まで落ちるだろう。
三栗くんも所属している我が校の生徒会は、全校生徒の憧れだった。
会長、副会長、会計、書記。
メンバーの全員が男子で、しかもめちゃくちゃ顔がよくて。先生たちからも頼りにされていて。
そりゃあ人気も出るでしょうよ、って感じだった。
庶務の席はいつも空いていて、女の子たちはみんな庶務の座を狙ってる。
だけど、どの子も長続きしないんだ。
理由はわからないけど、たぶん、仕事が身に入らないんだろうなって。
そりゃあ落ち着かないでしょうよ、って感じだった。
あと、嫉妬した女の子たちに地味に虐められる。



