まあ、食ってしまいたいくらいには。




そんな彼女から連絡が来たのは、とある日の放課後だった。



わたしの高校の近くでケーキの捕食が相次いでいる。

自分が思うに、犯人はわたしの学校に通う生徒だ、と。


簡素な文章は要約するまでもないけど、そういった内容だった。


彼女とはすでに和解して、わたしのことも理解してくれたとはいえ、心配してくれることに素直に嬉しさを感じてしまう。


ありがとう、そう送ると。


『勘違いするな。お前のために調べたわけじゃない』とツンデレもびっくりな極上ツンデレ返信がすぐに送られてきた。かわいい。




「なぁにニヤニヤしてるんだよ」

三栗(みくり)くん」



後ろから声をかけられ、振り向くと思ったよりも近くに色素の薄い髪。とびっきり整った顔立ち。


クラスメイトの三栗(はるか)くんが目を細めて口角を上げた。




「桃はいつも楽しそうでいいね」

「そ、そう?というか、ちょっとバカにしてない?」



なんだかニュアンスが……



それに、いつも楽しそうなのは三栗くんのほうだ。


いまだって、ほら。




「み、三栗くん!ばいばいっ……!」

「また明日……っ」


クラスの女の子たちが顔を赤くして挨拶している。


三栗くんが「ん、また明日」と返すと、きゃーってなった女の子たちは弾丸のように教室を出ていった。