次の日の朝、わたしは走っていた。
みんなが教室に向かう中、ひとり階段をダダダッと駆け上がっていく。
お行儀悪く数段飛ばしをして、廊下を全力ダッシュすれば、昨日あれだけ長く感じた道のりはあっという間だった。
うじうじ悩んだってしょうがない。
というか、悩む時間がもったいない。
わたしのモットーは今を精一杯生きること。
ケーキだからって、たった一度きりの人生を嘆いて過ごしたくない。
────バンッ!
思いのほか大きな音を立ててひらいた扉の先に広がった世界。
この世でいちばん最悪なお皿の上。
三栗くん、芽野くん、奈良町先輩。
向けられる視線をぜんぶ無視して、最奥にいる男だけを見据えた。



